白河夜舟の備忘録

【白河夜船】実際には見ないのに、見たふりをすること― (引用:広辞苑)

自分のための記録です。思考や感情の変遷を、日記的メモ的にまとめています。
学生時代の記事は一部を除いて非公開にしています。
過去の自分は他人だと思っています。

街とその不確かな壁

『街とその不確かな壁』(村上春樹

◆あらすじ ネタバレ含む
:17歳の主人公には16歳の恋仲の少女がいた。少女は「壁で囲まれた街に少女の影がいる」という話をする。そして音信不通となり、大人になった40歳のある日、主人公は一角獣を焼却するための穴で目覚め、壁で囲まれた街に着く。街では影をはがされ、図書館で「疫病を防ぐ」夢読みとして働く。引き剝がされた影が消滅する直前、僕は影を背負って外の世界につながっているという川下の滝壺に影を逃がす。
:元の世界。退職し、一目惹かれた福島県会津市にある小さな図書館で館長として働くことになる。壁で囲まれた街で勤めていた図書館の一室にそっくりな地下室、すでに亡くなった元館長であるお人好しの子易さん、受付の女性の添田さんと出会う。コーヒーショップの店員に微かな恋心を抱き、通うようになる。
イエローサブマリンのパーカーを着て見境なく図書館のすべての本を読む少年は、主人公と内密に壁で囲まれた街の話をし、再び壁で囲まれた街へ入り込んでしまう。ある森の深くで少年の抜け殻に耳を噛まれ、主人公も再び少年の後を追う。
イエローサブマリンの少年は主人公の体に入り込み、主人公と共に夢読みをするが、最後は図書館の彼女に別れを告げ、影と共に街を脱出する。